10年の巡礼旅 「イギリスの小さな教会」

(書肆侃侃房 出版)

イングランドだけでも16000以上ある教会堂

中でも特に面白いのは宗教改革前に建てられた教会です。6世紀後半よりキリスト教伝導という純粋な目標で建てられ始めた教会堂ですが、その目的は時代を経て少しづつ変化をとげました。

必要最低限で質素だったサクソン時代から、立派な建物で権力をみせつけた激動の中世時代を経て、 チューダー時代には商人が財力を示す目的で教会を建てはじめました。そして18世紀ジョージアン時代になると、絵画のような洗練された景観の一部として教会がデザインされました。

しかしどの時代でも共通していたことがあります。それは建築家や技師たちが、それぞれ好みやユーモアを取り入れて独自の味をだしてきたことです。

一ヶ所にいながら各時代の様々な特徴を見比べることができるイギリスの教会堂。だからこの国の巡礼旅は面白いのです。

旅の続きInstagram

南洋堂 Amazon Amazon Kindle
旅心をくすぐられる
週刊読書人
ユニークで 手間ひまのかかった良心的な好著
林望先生
建築と装飾の魅力を伝えてくれる
週西日本新聞
教会を巡り歩く著者の軽快な姿が目に浮かんでくるよう
世界日報

時代と建築様式

  • サクソン (600-1066)
  • 中世 (1066-1485)
    ノルマン(ロマネスク) / ゴシック(初期イングリッシュ・装飾ゴシック・垂直ゴシック)
  • チューダー (1485-1603)
    チューダー / ゴシック・サバイバル / ルネッサンス
  • ステュアート (1603-1714)
    ジャコビアン / ステュアート・クラシック
  • コモンウェルス (1649-1460)
    イングリッシュ・バロック
  • ジョージアン (1714-1830)
    ゴシック・リバイバル / ジョージアンパラディアン / ロココ / クラシカル・リバイバル / ピクチャレスク / レジェンシー
  • ウィリアム4世 (1830-1837)
  • ヴィクトリアン (1837-1901)
    ビクトリアン / オールド・イングリッシュ / クイーン・アン / アーツ・アンド・クラフツ
  • 20世紀
    アール・ヌーヴォー / アール・デコ / モダニズム / ブルータリズム / ハイ・テク / ポスト・モダニズム

石材の特徴

産業革命前の石材の運搬には水路が使われました。しかしそれにはある程度の財力が必要であったため、 一般的に教会は地元で採掘される石材で建てられました。 だからこそ古い教会は特に自然と調和し、風景に溶け込んでいるのです。

ブリテン島は、硬質な花崗岩が主な土壌であるハイランドと、砂岩や石灰岩が主であるローランドに分かれます。砂岩は風化が著しい一方で、加工がしやすいという特徴があります。 同じく加工がしやすい石灰岩は、精巧な彫刻を施したり、高さのある教会の塔を可能にしました。逆に硬質で加工が困難なフリント石は、他の石材と一緒に使われる傾向にあります。 ハイランドに多い花崗岩は最も硬質なため、この土地の教会に繊細な彫刻が施されることは稀でした。

各地の教会はこのように、それぞれの石材の特徴を活かしてデザインされました。